ヨコハマトリエンナーレ(開催期間:2011年8月6日~11月6日)は3年に一度開催される現代アートイベントとして、2001年スタート今年で10年目を迎えました。今年は、3月の大震災のため六本木アートナイトを含め関東地域の多くのアートイベントが大変残念ながらも見送りとなっていました。そんな中やっと落ち着きを取り戻しつづある今、3年ぶりのヨコハマトリエンナーレが開催されるということで多くの人達が楽しみにしていたと思います。その中からいくつかの作品をピックアップしてレポートします。
●トビアス・レーベルガー 作品
59個のランプが天井からぶら下がって展示されていたこの作品はランプそのものの美しさはもちろん吹き抜け空間を別世界かのように演出していました。
さらに、この59個のランプはネットを通じて横浜に住む子供達の部屋と繋がっているとの事で部屋の点灯ランプがつくと作品の光りが消え、子供がスイッチを切ると作品に光りが灯るようになっているとの事でした。現在進行形で人のアクションと繋がって成り立つアートを見ながらこれからパブリックアートがどのように地域と人とかかわりながら進化していけるのかを考えさせられました。
●冨井 大裕 「ゴールドフィンガー」
●ウィルフレド・プリエト 「One」
さりげなく二つの作品が一つの空間を彩る展示。
ウィルフレド・プリエト「One」-模造ダイヤ28000000個の中に本物のダイヤモンド1個が混ざっているとの事で真剣に探してみるも・・・見つかるわけもないが、それでも一度は真剣になってみるのが人のチャレンジ精神かもしれません。 冨井さんの作品は離れてみるとキラキラして壁面です近づいてみると画鋲だらけ、その光の反射加減は作家さんならではのマジックのように感じられます。
●ライアン・ガンダー
「何かを描こうとしていていたまさにその時に私のテーブルからすべり床に落ちた一枚の紙」
●リヴァーネ・ノイエンシュワンダー「テナント」
100個のクリスタルボールが床に一見無造作に置かれている作品と部屋の中を舞うシャボン玉の映像作品は同じ空間に展示されていた見る人には一つの作品としてとらえられがちですが実は別々の作家の作品。不思議と二つの作品は自然と繋がり創り出された展示空間となっていました。
パブリックアートの中でも実現できるコラボレーションは様々にありますがこれほどに自然と一つと感じさせることは中々難しいかもしれません。
●リヴァーネ・ノイエンシュワンダー
「プロソポピーア 」
リヴァーネのもう一つの作品。
餅に書かれた文字やタマゴの中に書かれ光にすかせば見える一文字は無限大の言葉を作り上げられるパズルのようでした。
皆が夢中になり思い思いの言葉をさがし作り上げていきながらお互いが作る文書や言葉に興味を持ち文字探しを手伝ったりと自然と作品と人が混ざりコミュニケーションが生まれる作品でした。
●シガリット・ランダウ 「棘のある塩のランプ」「死視」
宙に浮くいくつ物美しい白いランプは鉄線に死海の塩を塗り付け作られているそうです。ランプは緑色味が強い映像作品を背景に白く美しく、床面に映る黒い影と白いランプもコントラストも目を引く作品でした。ですがイスラエル出身の作家さんによるこの2つの作品群は強いテーマ性を持った作品かも知れません。
以上で今年のヨコハマトリエンナーレでの印象的だったピックアップ作品のレポートになりますが今年10年目を迎え、11月6日まで続く今回のヨコハマトリエンナーレーにはおよそ60余名のアーティスト作品の展示とともに今後もトークショー、パフォーマンスなど様々なイベントも企画されています。閉幕まで様々な話題と楽しみが続くアートイベントになると思います。
担当:李