2日間で可能な限り見てまわろうと計画したものの、早朝夜行バスで高松に到着すると激しい雨にみまわれ、計画が頓挫しました。開会以来はじめての雨、いや、嵐。。。おかげさまでとてものんびりと瀬戸内のアートを楽しめました。
1日目:直島へ
大巻伸嗣 / Liminal Air : core
雨風にふきとばされ、くじけそうになりながら高松港を一人さまよっていたところ、出迎えてくれました。大きくて色鮮やかでしかも鏡面。嵐の中アートを感じる精神的余裕のない私には、それはそれはまぶしく見えました。
草間彌生/赤かぼちゃ
かわいいようで毒のある感じ、嫌いじゃないと改めて実感。水玉模様の服を着た同行人が草間ファンに間違えられ、なぜか記念写真を撮られていました。
李禹煥美術館
コンクリート、木、石、鉄。。。と素材そのものを感じる場所でした。
左:作品の存在を感じずにはいられないストイックなアプローチ
右:思っていたよりもスリムなコンクリート柱の作品。とてもとても長いのです。
これは一本もの?? どうやって制作し、ここまで運搬したのでしょう??
李禹煥美術館 / 関係項-対話
誰が見ても鉄板。しかしこの場においてアート作品であるということを認めざるをえない存在感を感じました。
テレジータ・フェルナンデス/ブラインド・ブルー・ランドスケープ
壁面に小さなガラスキューブが散りばめられた作品。離れて見るときらきらと輝き、作品の大きさもかなり壮大なものでしたが、島の風景を映し出しているといのはわかりづらいように感じました。散りばめ方に何か意味が込められているのでしょうか。。。
夕暮れ時、気がつけば空はとてもきれいに晴れていました。大きな空と穏やかな海。波打ち際を歩いていると、時間の流れがとてもゆっくりと感じられました。
2日目:男木島~女木島へ
ジャウメ・プレンサ/男木島の魂
男木島の交流館。屋根には様々な国の言葉が並んでいました。 湾曲した屋根の文字、床に投影された影文字、たくさんの文字に包まれた空間でした。
大岩オスカール/大岩島
交流館の向かいには、古い木造住宅が並んでいます。なかなか味がでていて私はけっこう好きです。その一角にある旧公民館に作品がありました。
大岩オスカール/大岩島
海や島に対するイメージを絵画化したもの。油性マーカーで壁面から床にかけて全面に展開されていました。両サイドは少し角度をつけたミラーになっていて、風景がどこまでもどこまでも続いてゆきます。意外と大きな空間なので、制作は大変だっただろうと想像するに難しくない作品でした。
しかし数日後。。。この作品が焼失したとの情報を聞きました。近くの鉄工所の火災が延焼し、旧公民館も全焼。私が作品を見た翌日のことだったようです。地域らしさを感じられる、とても見ごたえのある作品だったので残念でなりません。
谷山恭子/雨の路地
たらいやバケツから水が降ってくる作品。残念ながら降ってくる様子を見れませんでしたが、人々の日常生活とアートが融合した作品でした。
谷山恭子/雨の路地
男木島で生活する人々にとって水はどういった存在なのかを感じさせられます。
中西中井/海と空と石垣の街
細い路地や急な坂道を歩いていると、石垣に模型らしきものが貼りついておりました。断崖絶壁にある投入堂のお家バージョンといった感じでしょうか。ほんとにこんな街があれば世界遺産になるだろうな。
西堀隆史/うちわの骨の家
香川県の伝統工芸であるうちわを使ったインスタレーション作品。うちわの骨組みが壁面から天井にびっしりと敷き詰められていました。規則正しく並んだ骨組みはシルエットだけでみるとテキスタイルデザインのようでした。
ラング/バウマン
保育所の屋根にヌメッとした物体。
動くわけではないですが、見たこともない生き物のようでした。あたりまえの日常の風景に、んっ!!と気づかされる仕掛けです。
木村崇人/カモメの駐車場
瀬戸内の風の動きをお知らせしてくれる風見鶏のカモメたち。このときは見事に東側を向いておりました。
そして向こう側には高松が見えています。
今回の旅、ただ作品を鑑賞するだけでなく、島という環境を肌で感じたような気がします。作品をとおして、そういった島の良さを発見できることもありますが、作品を見るためにてくてくと島の中を歩くなかで、特有の空気感のようなもの感じました。自分の知らない街を知るという意味でとてもよい旅だったと思います。今後この芸術祭がどう展開していくのか気になるところですが。。。
(担当:平尾)