公立昭和病院には数多くの作品が設置されました。
その中から代表して、外来ホールに設置されたガラス作品の制作・設置工事をレポートします。

作品概要

タイトル:照葉
作家:多田美波研究所(岩本八千代、渡部克己)
四季の緑と花々の生命力を積層されたガラスとクリスタルガラスで
表現した作品です。
作品サイズ:W8930 × H4380
工期:2010年5月15日~8月27日

壁面解体・補強工事 ~ 壁面復旧工事

2010年5月15日~
この病院自体は1年前に完成し運用が開始されていました。工事のために、使用されていた外来ホールをいったん閉鎖し、工事をすることになりました。
まずはじめに、壁面解体・補強工事が始まりました。

足場組立作業

壁面に足場をかけていきます。


壁面のサイズは幅約12m、高さ約7.1m。
その全面を足場が覆います。

防塵養生。今回の作業は、すでに運用がはじまっている病院にて行われました。
作業にはどうしても、ほこりや粉が舞ってしまったり、大きな音が出てしまうことがあります。
そのため、このような場合には、防塵防音のカバーをかけて作業をします。


↑ 足場組立作業 完了
以上の作業で、工事作業空間全体に、足場が設置されました。次から、カバーの中での壁面解体作業が始まります。

壁面解体


↑横材の補強金物が見えます。

壁面を解体。1年前、病院建設時にすでに取り付けられていた、アート作品設置用の補強鉄骨金物(横軸材料)が解体によって出現。内部状況を確認して防錆塗装処理を行います。

壁面補強工事 開始

この壁面には、重量のあるガラス作品が設置されます。
そのために補強工事が行われました。先の解体作業で出てきた横材の補強鉄骨に、縦材の補強金物を取り付けていきます。

←は搬入された補強金物(縦材)


LGSの合間に鋼材を取り付け。足場の狭いすきまでの作業は、慎重性が重要となります。



縦の補強鉄骨は、作品の意匠にあわせた取り付け用下地金物が取り付けられ、トの字の形をしています。さらに補強用の亜鉛鉄板を取り付けて、補強金物の取り付けが完了しました。
←補強用の亜鉛鉄板

壁面復旧作業


鉄骨にあわせて石膏ボードを張り合わせていきます。寒冷紗とパテで溝をうめ、不陸を調節しながら壁面復旧が進んでいきます。


仕上げのクロス張りも終了し、壁面復旧工事が完了しました。

作品設置工事 ~ 完成

壁面の補強が完了し、実際に作品を取り付けていく設置工事が始まります。

作品最終チェック

作家アトリエにて。
設置前に作家アトリエを訪れて、実際に一つ一つのパーツを確認していきます。
←部分的に、設置のシュミレーションを行っています。
設置のイメージが高まり、完成が楽しみです。

総数 176枚のガラスが制作されました。1つ1つ特注の段ダンボールにいれて梱包していきます。ガラスのパーツはここから、現場へと送られていきます。次は、現場での作品設置です。

作品設置工事

上段より取り付け作業開始。鉄骨の中央にボルトで固定していきます。
3層にかさなっている一番下のガラスから取り付けていきます。

←矢印の部分にボルトがあります
↓ 積層されたガラス。 最下層 から設置していきました。


3層目まで設置が完了しました。
最後に、真ん中のクリスタルガラスを設置します。


作品の全体調整を行います。
一枚一枚、微調整を繰り返します。

銘板取付

作品設置完了後、最終作業として銘板を取り付けました。


作品全体を見ながら、設置位置を微調整します。

作品設置完了

設置完了直後の写真です。 この後、最終的にイスなどが設置されました。

建築名称: 公立昭和病院
所在地: 東京都小平市
納入完了: 2010年8月
アーティスト:
多田美波研究所(岩本八千代・渡部克己)、Shelagh Wakely、小西真奈、望月通陽、
豊嶋敦史、日出真司、笠原由紀子 他27名