銀座一丁目の古い趣のある奥野ビルに入っている、タウンアートでも大変お世話になっているギャラリー巷房で、黒塚直子さんの展覧会”森とてぶくろ-畏れの感覚と安心の場所”が12月12日から17日まで開催され、見に行ってきました。黒塚さんの作品は、タウンアートでも、公立昭和病院や、菅原病院に絵画作品を納めています。

今回、黒塚さんも在廊されており、少しお話を伺うことができました。もともと東京芸大で映像作品を作っており、ご結婚、子供が生まれたのをきっかけに、藍で絵を描くようになったとのこと。今回はウクライナの民話「てぶくろ」から”安心の場所を探す”をテーマに藍で描いた絵画、白いテラコッタ、そしてインスタレーションまで展開していました。巷房は、3階と地下に2つのスペースがあり、作家による解説を読みながら移動していくと、想像力をかきたてられ、だんだんまるで絵本の世界に入っていくような感覚になり、展覧会を楽しむことができました。

とくにテラコッタの作品はとても細かく、中がどうなっているかつい覗いてみたくなるようなつくりとなっており、とても見応えがある作品でした。ご自宅に小さな窯があるということで、いままでの個展ではじめて立体の作品をみることできました。

最後に、NHK教育テレビの番組「にほんごであそぼ」内で、黒塚さんが描いた紙芝居「北風と太陽が」12月22日放映(再放送)されます。こちらでも、藍で描いた絵画となっています。

 

そして、引き続き、同じ奥野ビルの5階にあるAPSギャラリーで12月5日から17日まで開催されていた隠崎麗奈さん、宮道知子さんの2人展”nowhere better than this place”を見に行きました。宮道知子さんの作品は、タウンアートでは足利赤十字病院に納めています。

2箇所に分かれた空間に、隠崎さんの立体作品と宮道さんの絵画が同一の空間に展示されています。一箇所のテーマは部屋、もう一箇所は外(自然)をテーマに展示。二人は今回はじめて一緒に同じ空間で展示をすることになったとのことですが、驚くほど雰囲気がよくあっていて、居心地がよい雰囲気をつくりだしていました。隠崎さんの作品は、FRPによる立体作品で、色使いや形がとても懐かしく、キュートという表現がぴったりの女の子が好きな世界を表現しています。一方、宮道さんの作品は、平面なのですが、ほのぼのした柔らかいタッチの絵画で、冬の暖かい日差しの中で作品をみていると、よけいにポカポカして眠くなってしまうくらい癒される作品でした。

 

今回見てきた3人の作家さんの展示は、どれも病院をはじめとしたパブリックエリアで、いろんな人に見てもらいたい素敵な作品でした。今後どういう作品をつくっていかれるのかも、また楽しみの一つです。