名古屋第一赤十字病院小児医療センターのプロジェクトでは、作品制作の一環としてアーティストと名古屋市立大学の学生によるワークショップを行いました。
「“夢の小屋”をみんなでつくろう!」と題されたワークショップでは、入院している子ども達が行ってみたいところ、乗ってみたいものなど思い思いの絵を日頃描くことのできない床や壁に描きました。子ども達が表現した絵画をアーティストが切り取って再構成し、1つのアート作品に仕上げてワークショップ後数日間病棟廊下に楽しい空間を登場させました。
日常の入院生活では行うことのできないことを体験した子どもたちは笑顔にあふれ、その姿を見守るスタッフや親は、子ども本来の姿を垣間見れたという喜びの感想を多く残してくれました。その後、ワークショップに参加した名古屋市立大学の学生たちが、アーティスト監修のもと、切り取られたアートを使って絵本を作成し、絵本は病棟にあるシンボルツリーの本棚に納められました。今回は、ワークショップの様子をご紹介します。
ワークショップ概要
イベント開催日
2008年6月24日
場所
旧病院 プレイルーム・プレイルーム前廊下及びベットサイド
アートディレクション
長谷川仁(アーティスト)
企画
株式会社久米設計、株式会社 タウンアート、名古屋市立大学 鈴木研究室/学生有志チーム
概要
壁や床に画用紙を敷き詰め、子ども達が普段経験できない大きなキャンバスでのお絵描きを演出します。
廊下には、夢の小屋と名づけられたテント小屋も出現。ワークショップ終了後、アーティスト監修の元子ども達の作品を切り抜き、再構成してテンポラリーな展示会へと展開します。
準備
アーティストとタウンアートスタッフ、さらに名古屋市立大学の学生が前日から当日の午前中にかけて会場の設営を行いました。
・テント小屋を作る。
ブルーシートで養生した上から画用紙のロールを敷き詰めていきます。
プレイルームの床も画用紙を敷き詰めます。
↑白いテント小屋の完成。
・お絵かき道具の準備。
お絵かきに使用する絵の具やローラー・クレヨン・のり・はさみなどを準備します。
プレイルームに出てこられない子供にたいして、学生たちがアート制作出張キットをもって出向くための準備。
学生が画板、画用紙、画材をもって各病室をまわります。
ワークショップの様子
プレイルームの子ども達。
子ども達は、アーティストや学生、お母さんたちとおしゃべりしながら。クレヨンや色紙を使って床に敷き詰められた画用紙に思い思いの絵を描いていきます。
学生達が子ども達を導きながら、画用紙の貼られた壁や、床にローラーを使って色塗りをしてもらいました。
手についてもすぐに落とせる、水彩絵の具を使用しています。
ベッドサイドへ出張。
プレイルームへ出てこられない子ども達、許可の下りた子どものところへはお絵描きセットを持って学生達が向かいました。
学生とおしゃべりしながらクレヨンや色紙を使って絵を描いてもらいました。
夢の小屋を作る
ワークショップ終了後、子供たちが、ローラーで色をつけた壁と床にかいた絵を、アーティスト指導のもと、学生達が切り抜いていきます。
(左・中)ワークショップ終了直後 (右)アーティストが切り抜くラインを決めていきます。
↓切り抜き作業。
テント小屋を布で再設営し、切り抜かれた子ども達の絵をアーティストと学生達で設置していきます。
完成
完成した「夢の小屋」。
ワークショップの後、3日間展示されました。
ワークショップの感想コメント
参加してくださったお子さんのお母さん方からの感想コメントを一部紹介します。
(↓画像をクリックすると拡大します。)
・コメント1
・コメント2
絵本・壁画への展開
ワークショップ終了後、アーティスト監修のもと、子ども達が描いた絵をもとに、学生達が絵本を作りました。
この絵本は、アーティストがデザインした、病棟のシンボルツリーとなっている棚に収められました。
また、病棟のデイコーナーには、学生達によって絵本の原画が再構成され、描かれました。