PROJECT/ 病院・医療施設
名古屋第一赤十字病院 小児医療センター
Japanese Red Cross Nagoya Daiichi Hospital, Child Medical Center
名古屋第一赤十字病院 小児医療センターは、日本初の総合病院内に設けられた小児医療専門機関として幅広い先端医療を行っている。今回、改築に伴い総合アドバイザーとして名古屋市立大学の鈴木教授を迎え、スタッフ、設計者、アーティスト、アートプロデューサーによる療養環境委員会が創設され、アート計画がなされた。アート計画では、コンセプトを「自然界にいきるいきものは互いにつながりながらいきている」とし、外来は「お花畑」、NICU・GCUは「海」、入院病棟は「森」のテーマを設け、コンセプトのシンボルとなるレリーフを病棟入口に設置し、シンボルに登場する生き物たちが各フロアへ広がっていくようにアートを配した。子供の目線でのアート展開や、発見の楽しさを体感できるような配置計画に配慮し、豊かな癒しの環境を提供している。
また、このプロジェクトの一部はアーティストと学生(名古屋市立大学・鈴木研究室)の協働作業によって行われた。学生参加はコスト削減を目的としたものではなく、積極的に教育プログラムシステムをアートワークプロジェクトの中に取り入れる試みとして行われた。主な目的として、普段接点の少ない患児と接することでデザインに対する考え方の現実性、社会性を学ぶ。地域に開かれた医療機関としてシンボリックなプロジェクトとする。将来的なボランティアや地域サポート活動への発展への期待、等が挙げられる。さらにアーティストがディレクションすることでデザインの質を確保している。
また、この協働作業の一環、制作の前段階として、旧病棟においてワークショップも開催された。壁面や床に敷き詰められた画用紙に患児達が思い思いにローラーを走らせ、絵を描いた。それらの作品は、アーティストによりアレンジされ、「夢の小屋」と題されたテント小屋にて展示された。その後、学生達により、子供達によって生み出された絵を取り入れながら、アーティスト監修のもと絵本が作られ、シンボルツリーの本棚に納められた。絵本の一部は学生による壁画としても登場している。
- 施設名称
- 名古屋第一赤十字病院 西棟 (小児医療センター)
- 建築主
- 名古屋第一赤十字病院
- 所在地
- 愛知県名古屋市中村区道下町
- 主要用途
- 病院
- 完了年度
- 2008年10月(2009年1月 西棟オープン)
- 建築設計
- 株式会社久米設計
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- 長谷川仁
- 施工
- 鹿島建設株式会社
- その他
- 総合アドバイザー:鈴木賢一(名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科教授)、壁画一部制作:名古屋市立大学 芸術工学部鈴木研究室・学生有志チーム