名古屋、大阪及び伊勢方面へのアクセス上、交通結節点に位置する三重県川越町。町内唯一の駅、川越富洲原駅を含むこの地区は、地域社会のユニバーサルデザインを図り、「うるおい・であい・ふれあいのまちづくり」という理念のもと、平成18年から22年までの4年間をかけ、整備された。その中には駅舎の新築はもとより、東西一体となった統一感のある広場が計画され、「快適感・安心感・楽しさ感・活力感・ふるさと感」を向上させるという基本方針を表現する象徴として、時計塔をモニュメントとして位置付けることで、駅前で利用者に時を伝える機能としてだけにとどまらず、町の顔となる新しいアイデンティティを創り出した。
東西広場のカラー計画と調和し、地球の地軸と同じ傾きで2色のシルエットを纏った東西の球体モニュメントには、町の名(駅名)と地球上での座標を刻み、この場所の存在地点を強調している。夜になると内蔵されたLED照明が広場の街路灯と連動して点灯し、駅前空間に明るくあたたかな印象を与えながら、行き交う人々をその輝きで出迎え、見送っている。
川と海、水に恵まれた川越町。
そこに現れる東西の水の滴が、駅を中核とした地域全体に波紋のように新たな交流の和を広げる-。
そんなイメージの象徴となった時計塔モニュメントは、同時に月の満ち欠けのようにゆっくりと時を刻みながら、快適な都市環境と人が集い文化を培う空間を形成している。
DATA
- 施設名称
- 川越富洲原駅前広場整備事業
- 建築主
- 川越町
- 所在地
- 三重県川越町
- 主要用途
- 駅前広場
- 完了年度
- 2010年10月
- 建築設計
- 株式会社シーエス(建設コンサルタント)
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- 豊嶋敦史
- 施工
- 高砂建設株式会社(西口)、株式会社大橋組(東口)