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大阪国際空港(ITAMI)

Osaka International Airport

大阪国際空港(ITAMI)は、2020年のグランドオープンに向けて大規模なターミナル改修工事を行っており、2018418日に中央棟および屋上エリアが先行オープンした。このリニューアルを機に、同空港を運営する関西エアポート株式会社では、「関西らしさ -Sense of Place-」を伝える目的で、「大阪国際空港アートプロジェクト」を展開することとなった。

空港と地域をつなぐアート

プロジェクト全体のアート計画に着手する中で、タウンアートではその第一弾として「KANSAI PRIDE」をテーマにパブリックアートのディレクションを行った。関西ゆかりのアーティストの起用、関西の風景を表現の内に取り込むなど、地方空港に相応しいローカリティーを描き出す内容となった。

中央棟1Fピロティに設置した6点組のステンレスレリーフ≪GLOWING GROWING GROUND(四方謙一)は、空港と関西圏の主要な地域とを結ぶ等高線をパターン化し、豊かな文化と風景を育んできた山々の稜線を独自の視点で抽象化した作品だ。2Fエントランスでは、純白の壁画≪渡り鳥≫(佐々木愛)が利用者を迎え入れる。空港から飛び立つ飛行機や旅人を、和歌にも歌われた「稲野の笹原」を舞う渡り鳥に見立て描いた。立体的な描写が柔らかく美しい陰影を作り出す洗練された作品となっている。また、2F到着ロビーに設置された全長13mに及ぶ巨大壁画≪HORIZON≫(国松希根太)もまた、空港の上空から見渡す大阪湾をはじめとする地域の風景を大胆に描いた作品である。同作品に描かれた水平線は、ガラス越しにみえる実風景の滑走路と呼応し、旅の高揚感や希望を促すものとなった。

また3F通路に連続的に配置されたデジタルサイネージ16カ所におけるアニメーション≪another world -windows-(林勇気)はタウンアートの新しい試みとなった注目作品で、関西圏で撮影された膨大な量の写真から無数のモチーフが切り出され、いつもとは少し異なる「関西の風景」をこの窓から望むことができる。このアニメーションは、地域住民にとっても、また旅行客にとっても新鮮な眼差しを提供することになるだろう。最後に紹介するのは、独自のパターンを描くライブ・ペインティングなどで活躍するBAKIBAKIによる壁画だ。全長50mにおよぶ屋上壁画の制作においては、パターンの内側に「関西」をテーマとした自由な絵を地域住民(約300名)に描いてもらうワークショップを開催した。ひとつの作品制作をコラボレーションで実施することで、アートは空港という場所と地域の人々をつなぐ架け橋となった。

これからの表現へ

今回のパブリックアートは、若く有望なアーティストらの新たな眼差しによってローカルの文化が昇華された「これからの表現」とも言えるだろう。現在のインバウンド需要に加えて、2020年の東京オリンピックの開催や、大阪府や大阪などの行政が誘致する2025年の国際博覧会など、関西地域における大阪国際空港の機能が益々期待されることだろう。そうした空港にこれらの作品が設置されたことは、今後の地域とパブリックアートの関係を再考する模範となるだろう。2019年から2020年までには、美術系学科を有する関西圏の大学との共働を行う産学協働プロジェクトも控えている。卒業・修了後活躍していくだろう「これからのアーティスト」とのコラボレーションもまた同様の事柄が期待される。今後もアートがひとつの基点となって、地域住民のみならず国内外からの利用者に開かれていく大阪国際空港に注目いただきたい。

DATA
建築主
関西エアポート株式会社
所在地
大阪府豊中市
主要用途
空港
完了年度
2018年4月
アートディレクション
株式会社タウンアート
アーティスト
国松希根太、佐々木愛、四方謙一、林勇気、BAKIBAKI(五十音順)

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