大学の思想をアーティストを通して学生たちに伝える「ことば」のアートプロジェクト
大学の創始者である理事長が大切な言葉として学生たちへ伝承していきたい言葉、いわば大学理念の根幹を成す言葉を、アーティストの思想や感性のフィルターを通して、新たなかたちとして伝えることにより、学生たちの日常生活のなかに、気づきを与えるものとした「ことば」のアートプロジェクトである。アーティストは藤本由紀夫氏。理事長先生との対談や著作本を通して、理念と思想を表す3つの言葉を取り上げ、アートワークとして建築空間にちりばめた。「Als Ich Kann」(訳「わたしにできるだけのことを」/ロマン・ロランが著書において引用したヤン・ファン・エイクの言葉)のほか、「見る、考える、行う」「ほほえみ」を英訳した言葉が、窓やルーバー、壁のなかに発見できる仕掛けとなっている。
学生たちに直接的に思考を促すワークショップの実施
建築に入り込んだ「ことば」のアートワークが間接的に大学の理念や理事長のメッセージを学生たちに伝える一方で、建設段階においては、学生たちとのワークショップを行い、アーティストの思想に直接的に触れる機会を作り出した。椅子を用いたワークショップは、一見上記の「ことば」と脈絡がないように見えるが、他者との関係性、対話やコミュニケーションの意味について思考を促すとともに、自らの視点や自己について考えるきっかけを学生たちに与え、「ことば」の意味を思考する糸口となっている。
スタッフブログ 『“Als Ich Kann” ―東北地方太平洋沖地震に寄せて』
- 施設名称
- 畿央大学
- 建築主
- 畿央大学
- 所在地
- 奈良県北葛城郡広陵町
- 主要用途
- 大学
- 完了年度
- 2006年3月
- 建築設計
- 株式会社日建設計
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- 藤本由紀夫
- 施工
- 株式会社竹中工務店