大阪市交通局は100年の歴史を有している。その歴史性を反映して、「交通」「都市網」「歴史の積層」などをキーワードに、アートワークを配置。3階の正面玄関には、交通の発達が人々に普遍的な移ろいをもたらし、地球的規模のつながり、生命のつながりをあらわすシンボリックなアートを展開。また、エレベーターホールのガラス壁には、地下鉄やバス路線が縦横に走り、人やモノがさかんに交流し、大阪という大都市が発達してきたという歴史性を抽象的なかたちで表現している。内部の食堂では、古典絵画のようでありながら、岩崎地区を中心とした大阪市の風景画が展開されている。よく見ると現代の建物には古い家屋の建て増しがあり、過去と未来の人々の世相が隔たりなく描かれている。作家特有のフィクションを盛り込み、見過ごしがちな日常の風景や忘れていたものの再発見を促し、交通のもたらす文化性を、親しみをこめて表現している。そしてさらに、3階ガーデンプラザには、人々が集うことのできるパーゴラ作品を、また、デッキ部分には、昔の市電車両のモチーフと交通網のイメージを融合させ、リズミカルで楽しく親しみやすい色と形により、賑わいを演出したアートベンチを展開した。
大阪をイメージさせる作品をちりばめ、交通局に勤務する人々や訪れた人々が憩う空間として、親しみがもてるものとなっている。
DATA
- 施設名称
- 大阪市交通局庁舎
- 建築主
- 大阪市
- 所在地
- 大阪府大阪市西区
- 主要用途
- 庁舎
- 完了年度
- 2004年3月
- 建築設計
- 株式会社久米設計
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- 飯塚八朗、セバスチャン、高田洋一、趙慶姫、山口晃
- 施工
- 大林・清水・三星・大本・榎並特定建設共同企業体