千葉市中心市街地に位置し、科学館や福祉施設など5つの公共施設と民間商業施設から成る複合施設きぼーるには、目的も年齢も様々な人々が訪れる。「多世代」「地域性」「情報」をキーワードに体験型のメディア・アートをアトリウムに展開、情報機能とアートを結ぶことで情報を分かり易く伝えると同時に、アトリウムを公園のように人々が集い交流する場として演出した。施設情報を表示するインフォメーションボードは、アトリウムに設置された大型ディスプレイとタッチ式ディスプレイ、携帯電話、ホームページと連動させ一貫した情報を提供するシステム。館全体の情報が視覚的に理解できるような3Dグラフィックスや時報映像など、来館者の目を引くコンテンツを織り込んでいる。
歴史アーカイブは、時代を設定しビューワを動かすことで、きぼーるを基点とした古代から現代までの風景を眺める仕掛け。学術利用も想定し、綿密は調査のもとコンピュータグラフィックスにより周辺地域や建造物を再現、写真や解説なども充実させた。アトリウムから見渡せる街がどのような変遷を遂げて今ここに在るのか、その土地に集積する時間と歴史をリアルに体感することが出来る。
正方形のパネルに触れることで色が変化する遊びメディアは、単純な操作と体を使うことで、直感的に遊ぶことが出来る年齢を問わないデザインになっている。子ども交流館の入口付近に設置し、子どもの遊び場、コミュニケーションの場としても機能している。
毎夜投影される環境映像は、2台のムービングプロジェクターを使用して、色彩豊かなアニメーションがアトリウムの床や壁、空中に浮かぶ球体プラネタリウムへと、ダイナミックに空間を駆け巡る。季節毎に切り替わるプログラムは四季を感じさせるグラフィックで表現され、ガラス越しに通りからも眺めることができ、街のランドマークとしてのきぼーるを話題性のあるものにしている。
メディア・アートのほかにも、アーティスト吉原悠博のデザインによる駐輪オブジェと腰掛ベンチを設置。また、アトリウムの賑わい演出の一貫として、ワークショップ型イベント「30秒シアターカフェ」を企画。参加者にはカフェメニューと共に30秒メニューを提供しビデオを撮影、インフォメーションボードの動画表示機能を利用してアトリウム内の大型ディスプレイに投影、後日ホームページ上でも公開し人気投票ができるようにした。アトリウムに出現したオープンカフェでリラックスしながらワークショップに参加することで、メディア・アートに触れる機会を促すことを意図した。
(一部作品は撤去済み)
- 施設名称
- 千葉中央第六地区第一種市街地再開発事業
- 建築主
- 千葉中央第六地区第一種市街地再開発組合
- 所在地
- 千葉県千葉市
- 完了年度
- 2007年7月(10月20日グランドオープン)
- 建築設計
- 株式会社日建設計
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- インフォメーションボード: カワシマ・ラボ(コンテンツデザイン) + マナビノタネ(システムデザイン) 千葉歴史アーカイブビューワ: 関口敦仁 + 千葉歴史アーカイブビューワ プロジェクトチーム 遊びメディア TAPS : 赤羽亨 + st-Cadenza inc. 環境映像: plaplax 駐輪オブジェ・腰掛ベンチ: 吉原悠博
- 施工
- 大成・清水建設共同企業体
- その他
- アートプロデュース:株式会社PAS計画