かつての水の都が次第に埋め立てられ、現代都市として変貌を遂げた西梅田地区。
その地下道に、まるで掘り起こされた「水の遺跡」のように力強く水流を刻みつける野老朝雄のアートワークがブリーゼタワーへと人々を迎え入れる。限られた地下のスペースをキャンバスに、野老はたった1つのパターン(模様)に90度の回転を加え自在に綾なす事で、流れゆく水の多様な連なりを見事に描き出した。
野老作品特有の連続、反復と無限の広がりは、建築空間の中で極一般的な建材にバーナー仕上げで展開されたシンプルな手法で、インテリアとアートの境界を融合させ、水流の様なのびやか且つ、感覚が麻痺する異次元の様な特別な空間をアーティスティックに生み出している。視覚に作用し日常の感覚を少しずらす、アートが与えるそんな「無意識の意識」に誘われ、導かれ、人々がふと足を止める。
DATA
- 施設名称
- ブリーゼタワー
- 建築主
- 株式会社サンケイビル
- 所在地
- 大阪府大阪市北区梅田
- 主要用途
- 事務所、劇場、店舗
- 完了年度
- 2008年7月(2008年10月オープン)
- 建築設計
- Ingenhoven und Partner Architeckten、株式会社三菱地所設計
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- 野老朝雄 TOKOLO.COM
- 施工
- 鹿島建設株式会社
- その他
- タイトル:Piecing Pieces Passage