地域の特色を反映した作品で土地への誇り、生きる喜びを引き出す
炭鉱の町として栄えた筑豊地方にあり、 地元に根ざした県立病院を恩賜財団済生会が引き継いで運用。 老朽化した建物を新築し、よりよい療養環境のなかで恩賜財団として広く地域の人々に医療を提供することを目指したものである。
アートワークは地域の特色やその歴史を積極的に反映し、肯定的に作品化したものを軸として展開した。
自然との対話、時間との対話、土地との対話、家族との対話、自分との対話など『多様なる対話』を通して、土地がもつ雄大な歴史と自分の今の「生」や暮らしが繋がっていることを人々が感じ取り、この地に生きる誇りや喜びを再確認することによって、生きる活力と治癒力を引き出すことを目指した。
建築計画と整合性のとれたアート計画
「自然豊かな立地環境を活かした地域密着型医療」という建築の特徴をふまえたアートコンセプトを設定。落ち着きのある癒しの空間とするために、色味など内装計画と調整し、まとまりのあるものとした。大きな作品から小さく身近な作品まで、すみずみまでアートワークを配置することで、人々が至るところで細やかなケア、心遣いを感じられるようにした。
病院運用に関わるプログラムの導入
病院のウェブサイトを建築デザインと統一し、見やすいサイトにリニューアルした。そして一部の病床には、デジタルフォトフレームを導入し、 地域のなじみある風景写真をじっくりと眺めたり、 家族写真を入れて個々が更新できるようにした。継続、更新できる仕掛けにより、常に生き生きとした環境づくりを目指した。
- 施設名称
- 福岡県済生会 飯塚嘉穂病院
- 建築主
- 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福岡県済生会
- 所在地
- 福岡県飯塚市
- 主要用途
- 病院
- 完了年度
- 2011年3月
- 建築設計
- 株式会社 梓設計
- アートディレクション
- 株式会社タウンアート
- アーティスト
- 樋口健彦、岸本真之、廣瀬智央、高須英輔、上田亜矢子、太田拓実、 古門圭一郎、若野忍(KIYATA)、太田三郎、井上絢子、木下恵介、他3名
- 施工
- 鹿島建設 株式会社